2012年6月11日月曜日

新聞投稿記事…地域活動を通して都市農業の理解を深める

6月6日

農業共済新聞(H23(1948)年創刊。「農家に学び、農家に返す」を編集の基本方針として、営農と暮らしに役立つ情報を提供する週刊紙)のコラム「大波小波」に、三翠会代表鈴木さんの投稿が掲載されました。

三翠会ブログにも再掲載いたします。

「地域活動を通して都市農業の理解を深める」    

    鈴木 國臣


 開発の進む都市近郊でわずかに残った水田を仲間と耕作しながら、農の持つ価値を発信し続けている。

生きものブランド「湘南タゲリ米」で付加価値を高め、自然環境も維持する活動の代表を引き継いだ。活動は11年目を迎えている。 今回は農をまちづくりの拠点に置く活動を紹介する。

住居地にある鎮守の森は、今でも地域住民をつなぐ重要拠点である。
その西端にタゲリ米生産の水田がある。

東にはマンションや新興住宅地に囲まれたさがみ線新駅予定未利用地があり、「駅と緑と絆の会」会長として野菜、米、花を新住民の方と作っている。

南端では休耕していた地権者に協力し、農に関心のある仲間を集めて小麦とソバの栽培を始めた。

そして北端にある農業用水の取水拠点は民話「河童(かっぱ)徳利(どっくり)」の発祥の地である。農耕信仰の霊山大山への街道で、中世から現代まで交通の主要点でもあった。

ここに農をつなげる民話公園をつくりたいと、20年来地域で温めてきた活動を仲間と再開した。

昔の川や池の再現、地場産小規模直売所など道の駅をイメージする休憩所である。

 この東西南北の出城は、隣接する地域と農をキーワードにつなぐ拠点になる。

この活動は米生産農家だけでなく、自治会や各テーマを持って活動するグループと連携して動きだしている。行政や地権者との交渉など、実現までに乗り越えるべき壁はまだ高い。

 しかし、この活動を通して、地域の人に見えてくるのは、地域ではわずか2%程度に過ぎない農家の人が、食料生産以外に地域づくりのキーマンとして役割を果たしながら、地域や国土を守る役割を果たしている姿ではないだろうか。

 多くの産業はコスト競争で生産拠点を海外に移すが、農家は採算が取れないからと広大で安価な農地を求めて海外へ移るだろうか?

 農家は、主食の食糧を作りながら自然環境を維持し、国土を守っている自負を持っている。

 自然と対峙(たいじ)しながら土をつくり、作物を生み出す喜びを大切にするのは、水を引いた田んぼを眺め、黄金色になびく穂波を見て、それを口にし、また喜んで食べてもらうことで、人本来の自己実現の欲求がかなえられるからではなかろうか。

 現実には都市農業は、米麦生産だけでは経営は厳しい。

施設投資による周年栽培や手のかかる品質の高い果樹や花卉(かき)生産で、市内はもとより国内でも有数の品目を切磋琢磨してつくりながら、国土を守ってることを知っていただければありがたい。

 (神奈川県茅ヶ崎市、水稲^、三翠会代表、田んぼ塾長)

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