2012年1月17日火曜日

新年のご挨拶

新年おめでとうございます。
写真は1月元旦、タゲリ米の田んぼを見下ろす小出川の土手から迎えた、2012年の初日の出です。

3月の東日本大震災、それに続く原発事故と放射能で揺れた一年でした。

●大震災
3月には、いわき市から避難された福祉施設のみなさんの支援をされた「エルファロを救う会」に協力し、小学生がタゲリ米田んぼで作ったお米を贈り、また代表の鈴木國臣さんが義援金を募るための野菜の販売をしました。

4月、5月と原発事故の広がりが明らかになり、県内でも足柄地域で基準値を超える放射能がお茶の葉から検出され、農と食に関わる人々に大きな不安を与えました。そんな中で今年のコメ作りが始まりました。

バイオディーゼル

 しかし、ここで新しい試みを始めています。


鈴木さんが新しいトラクターを導入。その燃料に、市内の茅ケ崎一般飲食店組合と湘南オイルサービスが協力して作っている食用廃油を利用したエコエネルギー、バイオディーゼルオイルを利用しました。食とエネルギーのエコ&地産地消の輪に、お米作りの現場から農の輪も加えていく試みです。

●生き物調査で市に協力
茅ヶ崎市は市民の協力により、全国的に見ても大変レベルの高い自然環境調査が実施されていますが、その「評価再調査検討会議に基づく調査」に、魚類、水せい生物分野で三翠会が協力。5月から11月の半年間、毎月市内各所の河川、流域に入って投網を入れ、実際に生息している生き物を調べました。


●田植えピンチ…揚水ポンプの故障
6月に入り、例年通り各農家が田植えを行いました。ところがその最初に、田んぼに水を供給するポンプが故障。水を引い入れることが出来なくなり、田植えが続けらないのではないかと困ってしまいました。県土木の河川工事に伴い、3年前に、それまでの可動堰による自然流下の取水方式に代えて、電動式のポンプを使った取水方法に変わりました。電気を使った最新鋭…というふれこみだったのですが、川を流れ下る草木やゴミなどが詰まってしまったのが原因です(結局、それらを人力で除去してきたのですが…それが間に合わなくなった)。原発事故による折からの停電の心配の中、底の浅い近代技術の脆弱性を、あらためて知らしめる結果となりました。

●大震災復興祭へ出店
6月にはまた、 茅ヶ崎中央公園で大震災復興チャリティーイベントが開催され、三翠会も出展ブースを設けて黒米の販売を行いました。ここでも新しい試みを行いました。地域産業の次代を担う青年会議所の若い人達と一緒にブースを組み、青年会議所のみなさんが地域産品開発のひとつとして取り組まれている烏帽子岩産のワカメの佃煮を販売。この試食にタゲリ米(白米)を提供しました。


●生命の賑わい
田んぼへの取水と同時に、昨年もナマズをはじめとする多くの魚類が、三翠会が設置した魚道を通って田んぼに産卵に訪れました。また、その魚たちを目当てに、コサギ、アマサギ、ゴイサギなどのサギ類、田んぼの昆虫類などを餌にするヒバリ、オオヨシキリ、またここで子育てをするバンやカルガモなどが訪れ、夏のタゲリ田んぼは生きものたちで賑わいました。ただ、招かざる客?、外来生物で稲を食害するとされるジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)の繁殖が近隣の田んぼで確認されました。今後の動向が気になるところです。

●台風襲来
 さて、一昨年はたいへんな猛暑で、お盆時期に開花した後、登熟期(お米が作られ始める時期)に異常な高温に見まわれ品質が低下してしまいましたが、昨年はちょうどその時期に秋風が吹いてくれて、お米は順調に育って行きました。しかし、稲刈り直前の9月21日、日本列島を縦断して各地に大きな災害の爪痕を残した台風15号が通過。田んぼは一面水浸し(これによって市街地の洪水が未然に防がれているのですが…)、しかも強風により実って重たくなっていた稲が一部倒れてしまいました。そのままにするとお米の品質が落ちてしまいます。すぐに修復作業を行いました。(各農家は毎年襲来する台風を見越して、予め倒伏しないように、栽培期間を通して水や施肥管理をして多くはあの台風を乗り越えました)

●放射能検査
また昨年の収穫は、県による放射能調査の結果を待つという…前代未聞の出来事の中で行われました。幸い神奈川県は基準値を超える場所はなく、無事収穫することができました。

●美味しいお米を無事出荷
こんな、汗と心配や喜びがこもごも過ぎて、11月、今年もみなさまにタゲリ米をお送りすることができました。

9月の台風を除き、天候に恵まれたこともあって、例年になく美味しいお米になったようです。生産した農家のみなさんも「今年はうまいぞー」と自慢し、お米マイスターの資格を持つ市内のお米屋さんが太鼓判を押してくれるほどでした。購入されたみなさまからも「美味しかった!」というご感想をいただきました。11月26日には、神奈川新聞に「生き物米で”食べる環境保全”メダカや渡り鳥がすめる水田」というタイトルで大きく紹介されました。

●高校で授業
三翠会では、地元小学校のお米作り体験の学習のお手伝いや、公民館の社会教育事業など、市内の教育機関への協力を行なっています。そのひとつとして、11月22日には市内の県立鶴嶺高校のボランティア授業を行い、次代を担う若者たちにタゲリ米の活動とその意義についてお伝えしました。生徒さんたちは真剣に授業を聴いてくれて、寄せられた感想には、まさに私達が目指してきた事柄がわかりやすく述べられて、しっかり伝わったようです。

●タゲリ一斉調査
12月18日 一年を締めくくる活動として、10年来続けているタゲリの飛来数、一斉調査が行われました。 
相模川から西の湘南エリア(茅ヶ崎、寒川、藤沢)で5羽。平塚・伊勢原で27羽を数えました。年々減少を続けているのですが、今期もまた減ってしまいました。(ただ、年を越しての購入者探鳥会下見調査では7羽に増加)
 原因は、依然として止まらない田んぼの減少や、また繁殖地での問題もあるかもしれません。

しかし、ここまで少なくなったにもかかわらず毎年訪れてくれるのです。湘南のタゲリが幻の鳥にならないように、今年もお米作りと販売、生き物調査などの活動を通じて頑張っていきたと思います。


みなさま、今年もよろしくお願いします。
メンバー一同 
(写真は1月14日今年はじめての例会・下見調査後での新年会にて) 
  Photo. by K.Hiraiwa Text. by T.Sakurai

0 件のコメント:

コメントを投稿